今もここでやりたいと思っている人が3人もいること、できる限り死ぬまでやりたいと言う人がいること、人生を投じていること。失うことなど容易かったであろうこの瞬間を、熱を、奇跡を尊敬している。複数の人間が同じ志を持ち、人生を共に歩むからこそ生まれる空間と熱量があると思っている。この聖域は失われたら二度と同じものは手に入らない。グループとは、人と人との繋がりとはすごいものである。
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グループについては、今は他の2人にまず幸せになってほしいと思ってるんだよね。 俺は。 正直3人になった時は、自分のためっていうよりは、この2人にとにかく “自分より先に行ってくれ”って思う状況だった
自分が何をするべきか分からなくて。 自分の実力や才能、伸びしろって、なんとなく分かるじゃない。 2人に対しては、まだまだ先に行けるだろうなって思うけど、 自分は分からないからさ。
2人はまだ溜めてきた力もあるだろうし。俺はやれる限りのことはやってきたつもりで「ここから先に何があるのか?」ってことは正直、ずっと分からなかったんだよね。それでもやるしかないじゃない。「やる」って決めたし。俺の気持ちがどうとかの前に2人が楽しくやってくれたほうがいいなと。自分のためにグループをやるっていうより、2人のために、ファンの方のためにやる。
(加藤シゲアキ TVnavi SMILE vol.50 2023年9月28日)
2020年当時の状況について加藤さんが明かしたことについて、どこか寂しい感じがしなかったとは言えない。でも、二度と出せないレベルのエネルギーでやっていたものがあっさり終わって、また新たに「目指す未来」を見つけるなど、どだいすぐには難しい話だろう。
誌面では、“こんなにやってきて今また夢ってなんだろう、ファンの人が喜んでくれる、それで十分じゃないか”とも語られている。そして何より、同時期の複数の雑誌で「2人(小山・増田)が幸せになってくれたら」という話をしている。あのとき、加藤さんの「続ける理由」になったのは、すぐに前を向いた2人のメンバーだったのだ。NEWSである意味、ここでやる意味などは散々立ち返ってきて研ぎ澄まされてきたであろう。そのうえでそれでももう一度踏ん張れという状況になった時、加藤さんがやる理由となったのが「やりたい」と言うメンバーだった。
そして2023年12月に迎えた東京ドーム公演の終盤、加藤さんのビデオメッセージで音読せずに手紙だけが映し出されたそこに書かれた文字を見て、心底納得しそして涙が溢れた。
「まっすー、小山さん
一緒にいることを
あきらめないでくれて
ありがとう。」
ああ、やはりそうだったのだな。増田貴久と小山慶一郎か一緒にいると言うから加藤シゲアキも続けたのだ。もしかしたら、あの当時の理由は本当にそれ“だけ”だったかもしれない。
そして同じくビデオメッセージの中で、あのとき加藤さんが逡巡している様子に増田さんがちゃんと気づいていたということがわかった。確証は無いが、2人は前を見据えながら加藤シゲアキを待っていたのだろうと感じた。
そしてそのうえで増田さんは言った。
みんな考え方も性格も違うのに、20年一緒にこうやってこれたってほんとに素敵だなって思ってます。NEWSが生まれたこと、出会えたこと、今そばにいれること、ありがとう。NEWSもシゲも小山も大好きだよ。
そのとおりだ。今回加藤さんを直接つなぎとめたのは夢でも目標でもなく、人生の半分以上を共にした仲間だった。傍にそういう仲間がいたこと、隣にそういう熱があったこと、グループであることがグループをやる理由になった。
仲間と出逢って 旅を続けてく そんな時ふと隣で奏でる唄
この物語の主人公に告ぐ
悲しみ不安激動も愛も全て包み込めるように
今日も歌うから
(劇伴/作詞作曲:GReeeeN)
そして公演の最後、『劇伴』の歌唱中に “加藤シゲアキが” 叫んだ。
私は心から、本当に良かったと思った。
「俺たちがNEWSだ」