”今ここに自分がいる。””2人のために、ファンの方のために「やる」って決めた。”(加藤シゲアキ)

※ネタバレあり(レタスクラブ23.9、TVnavi SMILE vol.50 23.10、TVガイドAlpha vol.72 23.10、QLAP!11月号)

 

 

グループに関しては自分よりも2人に幸せになって欲しいという思いがいつもあって。ふたりがやりたいことが出来ればいいなと思うけど、2人もそう思っているかもしれないね。

加藤シゲアキ レタスクラブ2023年9月)

 

加藤シゲアキさん、ずいぶんと小山慶一郎さん増田貴久さんへの愛が強い。深く尽くしているなぁと思っていたけれど、ここにはもっと根深いものがあるようだということが分かってきた。

 

グループについては、今は他の2人にまず幸せになってほしいと思ってるんだよね。 俺は。 正直3人になった時は、自分のためっていうよりは、この2人にとにかく “自分より先に行ってくれ”って思う状況だった

加藤シゲアキ TVnavi SMILE vol.50 2023年9月28日)

 

2020年7月18日放送TBS系「音楽の日」での『生きろ』の歌唱が忘れられない。

6月19日以降、比較的明るく、というか、心を封じ、もうひとつどこか別の心で振る舞っているかのようだった。早い段階から、結構素直に意気込むモードを感じたコヤマスと相対するように、加藤さんはテンションが不自然なほど普段より高いところで維持されていて、感情を消したようだった。

そしてあの7月の歌唱のとき、加藤さんが泣いた。3人になった日以来、はじめて感情を見せたと思った。ああよかったと思った。加藤さんが戻ってきた。そして隣で増田さんが晴れやかな表情をしていた。そこからNEWSの勢いがすごかったことは、もう書くまでもない。

それにしても、加藤さんがどうしてあそこまでショックを受けていたのか、「4人」という形に思い入れが強かったのだろう、やる気を作るというのはなかなか大変なんだろうな、というくらいで、私は実はよく分かっていなかった、というのを今さらハッキリと理解する。アルバム『音楽』初回盤Bのインタビューで「やる意味あるのかなぁ。っていう気持ちもあったけど」と言う加藤さんは、やっぱり意味っていうのを事細かに求めてしまうんだろうなというくらいに思っていた。一方で「何も迷わなかったね。4人から3人になることが、そんなに大きなことだと思わなかったんだろうね。方向性的に。6から4の時は、自分たちの風向きが『無理でしょ』ってなってるのを感じてたけど、4から3は、別に俺が守るしみたいな、俺いるしみたいな」っていう増田さんの意思を当時は強く感じていたし、私もそう思っていた。私はあの時勝手に、何も心配していなかった。NEWSのプロデュースの中枢となる増田さんと加藤さんコンビ、そして制作チームの磐石さが変わらないから、きっと大丈夫だったから。

あれ以降、現在もなお、加藤さんが最後に脱退した”彼"の名を口にすることは徹底的に避けている、脱退という出来事をネタにするシーンはあっても積極的には参加しないのは分かっていたけれど。

 

  • 自分が何をするべきか分からなくて。 自分の実力や才能、伸びしろって、なんとなく分かるじゃない。 2人に対しては、まだまだ先に行けるだろうなって思うけど、 自分は分からないからさ。
  • 2人はまだ溜めてきた力もあるだろうし。俺はやれる限りのことはやってきたつもりで「ここから先に何があるのか?」ってことは正直、ずっと分からなかったんだよね。それでもやるしかないじゃない。「やる」って決めたし。俺の気持ちがどうとかの前に2人が楽しくやってくれたほうがいいなと。自分のためにグループをやるっていうより、2人のために、ファンの方のためにやる。
  • 俺はホントに、4人で終わると思ってたから/3人になった時に「俺、嘘つきになっちゃったな」って。 その悔しさは今もずっとある。 /それだけ死ぬ気でやってきたし。 「死ぬ気で」って言う言葉が嘘じゃないからこそ、3人になって「もう一回死ねるのか」って言うと使っちゃったエネルギーっていうのはやっぱりあるし。それでも、俺は「やる」って決めたから。 2人は俺以上に 「やりたいんだ!」「やってやる!」って言ってたから。 だからまず2人に幸せになってほしい。

加藤シゲアキ TVnavi SMILE vol.50 2023年9月28日)

 

三年経って明かされた言葉に、結構痛烈にくらってしまった。そうか、そういう事か。、、これが最終形っていうレベルまで、最後の力を使い果たす覚悟でやっていた。それほど完成した確信があったんだろう。あの四部作は今彼らが彼ら自身の手で成した『NEWS』の粋を極めた作品だったと思う。1つの理想を実現したと増田さんも加藤さんも言っていた。二度と出せないレベルのエネルギーでやっていたものがあっさり終わって、また新たに「目指す未来」を見つけるなど、、、そして何より自分が絶対だと思っていたものが絶対ではなくなったことによって、嘘をついてしまったということへの罪悪感みたいなものを感じざるを得なかったのだろう。これは加藤さんの性格だなと思う。基本的にクールでライトでありながら、本気で向き合うと決めたものに対しての熱量が非常に高く、分析や熟考が深い。人に対しては自分が信じた相手には尽くしそれが誠実さと捉えており、自己犠牲を厭わない。ちょっと危なっかしい。そんな印象がある。(ex:「俺はずっと小山の味方だから。何があっても小山を裏切らないよ。」🤦‍♀️)

テレビナビのなかで、加藤さんは、明確な夢ってなんだろう、と言っている。ファンの人が喜んでくれる、それでいいじゃないかと。それから、加藤さんはNEWSは絶対に続くとは断言しない。不確定な未来について断言したくないのだろう、先日のスペース(Xの)でもインタビューでも「とにかく誠実でいたい」を繰り返している。あのような熱で懸けていくフェーズがまたひとつ終わったのだなと思っている。が、加藤さんにはもうやりたいことも夢もない=意欲がないのか、と言ったらそういうことではないだろう。

 

僕の代わりなんて他にいくらでもいる。もし明日僕がいなくなっても、(...)世界は回るし、みんなは生きていく。だからこそ、やるんだったら自分が好きにやったほうがいい。

(TVガイドAlpha Vol.72  2023年10月)

 

もし最初に自分がグループを抜けていたら、違う誰かがいまもNEWSをやっていたと思うという加藤さん。でも結果、自分が今もNEWSを続けている。それができたのは、やっぱりファンの人のおかげ。だからそういう人たちに誠実に向き合いたいし、だからこそ人のためだけではなくて自分も好きにやりたいと。それだけなのだと。

 

いろいろ可能性があった中で、今ここに自分がいて、応援してくれる人たちがいる。それは本当に奇跡的なこと

・・・かといってこの世界は、自分の人生を誰かが動かしてくれるわけじゃないので、ただそこに立ち止まっているだけでは何も動かない。/自分が頑張らないと人を感動させることはできないですから。

いろいろな奇跡的なことが連なって今がある。/そんなことの連続の中で"何をやっていくのか?"ということなんじゃないですかね

(TVガイドAlpha Vol.72  2023年10月)

 

「人情心中や月蝕心中に込めたファンへの想いが愛情深いですね」と言われた加藤さんは「本当にそう思っているから」と答え、出会いへの感謝を語っている。20周年もあってこれまでを振り返り、色んな奇跡があって運良く自分はここにいると思った加藤さんは、今「やる」動機は小山と増田、そして応援してくれる人のためであり、そのために主体的に好きなことをやる、そうやって生きる姿を見せると決めたのかもしれない。やっぱり加藤さんらしい。

 

妥協しないなんて当たり前、もう一段階無理して汗かいてこそ人を楽しませられるし、自分も楽しめる。命ある限り一生懸命頑張る。だから俺に置いていかれないようファンのみんなも頑張って!追い掛けがいのある人でいられるよう走っていくから

(QLAP! 11月号 加藤シゲアキ