『NEWS EXPO』について|だけど僕らは、この運命を選んだ。

 



 

この物語の主人公に告ぐ

あらゆる可能性があった。

だけど僕らは、この運命を選んだ。

We are   NEWS.

 

 

 

もはや「残された3人ではなく選ばれた3人」でもない。これが全てだと思う。

 

 

youtu.be

 

彼らの最大の魅力であり腕は、その時の "NEWSの意思" が楽曲として、ステージとして、その瞬間の歌唱姿として可視(聴)化されているということだと思っている。ゆえに歌詞が説得力と熱を持ち、ステージが毎回違う感情を持ち、それが人に記憶され、積み重なったものが生き様となり、生き様がさらに作品の核となる。彼らの歌唱姿は物語でありながら生きる姿そのものであると感じる。これがショーに生きるアイドルグループのあるべき姿ではないかと思っている。

 

※(前のブログ記事⤵)。(読まなくても支障はありません。)

urnotalone.hateblo.jp

 

だからこそ「NEWS EXPO」に感嘆した。

 20周年を迎えた3人のNEWSは、物語の中でも歌唱の中でも以前以上に「生きる」を色濃くしていく。NEWSという人生を謳歌し、没頭している印象がある。ゆえに、ここにきて「NEWS EXPO」には、これまでとは違うものがあった。本来関連性が無いはずの楽曲たちに、 演出として“物語”を付加してきたこれまでの四部作や『音楽』と違うのは、増田さんが20周年の軸として最も強く感じたという、

『そもそもあの日、僕たち3人が出会ったことが奇跡』

『この人生でよかった』

『この人生を選んだことがすべて』

という想いに、全く別々で制作されたはずの音楽のほうから自然に、一貫してこのメッセージを成しているということである。点を繋いで線とするというより点が集まって大きな球となるように、音楽のほうから彼らは最初から主人公だったのだと、彼らを押し上げている。

自分が特にそれを強く感じた「NEWS EXPO」について書いておきたい。なお、これはアルバムの話、あるいはライブの話と言うより、「NEWS EXPO」という強いていば概念的な?話である。

 

※都合上、曲順が前後します。

 

 

エンターテインメント

 

  20周年にして、こういうグループがこの二十年の表題曲として直球の名を掲げてきた。「エンターテインメント」。彼らの原点にして全てである。

   ではそれを背負う曲はどんな印象を受けたかと言えば、冒険や闘いなど「挑む」イメージ。とにかくスケールが大きく構造も精巧で、四部作等で積み上げたもはや盤石な腕をもって、冒頭の増田貴久の胆力と粋のあるラップで「ガンガンいきますけど、何か?」といわれたようで気持ちがいい。どうぞ、どんどん行ってください。

ライブ演出は、おそらくほぼ間違いなくNEVERLANDを意識していただろうと思う。「とにかくすごいと思って欲しい」「1回目見た時の衝撃を(その人の)人生に刻み込みたい」という増田さんがオープニングにこだわっていることはこの辺では周知である。そのこだわりを取り上げる時、ライブドキュメンタリーに限らず「Ride on time」「関ジャム」などテレビでも例として出てきたのはNEVERLANDだった。あれが上手くいったから今の演出があるのは間違いない。

そして、今回の衣装。「唯一無二、替えがきかない」の最上位だった。「三銃士」を意識したものであるが、兎にも角にも各々が各々らしい…というかその人の最も美しい部分を特集しているデザインなので、その人にしか着られない。やはり冒険を思わせる衣装だが、3人が揃えば全てが網羅できそうな個々の力が見えつつ……うまい言葉が出ないが、この3人が揃って完成するんだな、と思わざるを得ない衣装だった。衣装は服飾学校の生徒さんが原案だそうで(スゴすぎ)、新たな抽出を交えつつ、そこをまとめて演出入れたのは間違いなく増田貴久だろうなと確信している。

NEVERLANDから明確なビジョンを伴って始まった“NEWSの演出”の理想と実現を経て、確固たる地盤と自信とカラーを彼らの、新たなる世界へ冒険を感じさせる見事なものだった。

そして何よりその世界観が「フィクションの中に彼らがいる」ように見せるのではなく、彼ら(を含めたチーム)の実力を示し、そういう力を持った彼ら自身のリアルの話だ、と感じる音楽と空間であったことが「EXPO」の醍醐味だと思った。

 

(なお、2023年が大変な年になったことは皆まで言わない。このグループは良くも悪くもタイミングがイタズラをするグループだとつくづく思う。必ずしも悲観的な意味には限らない。加藤さんの新刊『なれのはて』も併せ、偶然だが運命のように今掲げられた「エンターテインメント」に、私は支えられた。)

 

NEWS、結成20周年迎え想い語る「全部俺らに任せて」 軌跡辿るライブでファン魅了<NEWS 20th Anniversary LIVE 2023 NEWS EXPO> - モデルプレス

(心の第一声:加藤シゲアキがチョーカーつけてハット被ってるよよよよ!!!!)

 

 

完結と前進

 



2着目の白と金の衣装、まさに万博の荘厳さを醸す見事な衣装だったと思う。「NEWSニッポン」でデビューしただけあるなと思う、雅やかで高潔な“日本”の衣装だった。あれは見事だった。彼らは日本が誇るアイドルだと思った。

 

 

NEWS EXPOは、おそらくこのタイミングでしか出来ない「完結」と、それゆえの前進を見たアルバム&ライブセットリストだった。

 

フルスイング

 

  ベスト盤で再録された。正直、私はアルバムが発売される以前まで、フルスイングは再録しなくてもいい曲だと思っていた。この曲はタイプとして、圧倒的エピソードの中に不動の地位があって、その出来事を内包してそこで最も輝いた曲であろう。過去の自分が未来もそばにいるU R not aloneとエンドレス・サマーが「線」なら、フルスイングは「点」のイメージだ。だからフルスイングは2012年に完成(完結)しており、それを超えることは出来ない。

  やはり今もその認識は変わらないが、問題はその比較が根本的に間違っていたことだというのを再録で実感した。あの時の彼らは当然、同じところで立ち止まっていないのだから、別物だ。

 

「立ち止まっていたとしたって夢は終わりじゃなくて さすらいの果て 何を問う? 自分だけの旅」

 

これを加藤シゲアキが歌った。今となってはこれは加藤シゲアキの歌詞だと心から思う。

「立ち止まっていたとしたって  夢は終わりじゃなくて」「さすらいの果て  何を問う」「自分だけの旅」

youtu.be

 

 

自分がここに居る意味が分からないなって、自分が役に立っているという実感がなかった。

それでもみんなと一緒にいるのは好きだった

(フジテレビ『とくダネ』2021年3月3日放送)

 

いちばん、グサッときたのは、“自分の魅力って何?”って聞かれたことだった。
答えられなかった。でも、答えられないから、俺は立ち止まってしまったんだってわかった。

(Myojo 2012年1月号)

 

十年前、周りには多くの方がいたにもかかわらず、私は孤独だった。その孤独は自身の人間性がもたらすものだとは露知らず、誰も理解してくれないと世界を憎み、そうしてまた孤独に甘え、静かで暗い部屋で歪んだ感情を愛でていた。(・・・)

私は自身に問いかけた。いつまでもこうしているのか。(・・・)十年後も、同じままでいいのか。
衝動が暴発したのは、その瞬間だったと思う。書かなくちゃいけない。このどうにもならない感情を、どうにかかたちにしなくてはいけない。

(『1と0と加藤シゲアキ』あとがき)

 

自他共に傷つくことになっても、 その選択が正しかったと証明するべく、道を切り開く生き様を体現し続けるしかない。

(シゲアキのクラウド 2022/11/7)

 

あの時、その燃えたぎる闘志のようなものが自身の内側にあることを知り、ひたすらに嬉しかった。私は生きようとしているのだと実感した。つまり私はどこかで、世界に、そして未来に期待していたのだった。

(『1と0と加藤シゲアキ』あとがき)

 

 

あの時は、おそらくこの歌詞を背負えなかったのではないかと思う。今の加藤さんなら歌える。歌うべきだ。今年、ここでフルスイングは「これまで」と「ここから」に別れたように思った。その姿を見られたという事実、今、加藤シゲアキが歌ったという事実を噛み締めていきたい。

 

クローバー&希望~yell~ のクロスオーバー

これが本当に見事であった。
歴史を振り返るコンセプトの中核になりつつ、“彼”のパートを感じさせない演出。そのあとの『NEW STORY』とともに完全なる“完結”を見せていた。

あれは未来へ進むためのパートであった。

「クローバー」「NEW STORY」の2曲は、あまりにも4人の4部作の完結を担っていただけに傷もまだ新しく、他の曲より扱いが難しいと思っていたが、ただ曲を「繋ぐ」のではなく、先へ進む、未来の景色を見せるためのパートに仕上げてきた。やはり多くの苦難も糧にしてきた腕は伊達ではない。

 

NEW STORY

 

メンバーズセレクションに再録。これに関しては、「やっと手に入った」という思いである。NEW STORYだけは、原曲を聞けなくなっていた。

NEVERLANDもEPCOTIAもWORLDISTAも、そこに立っていたのは4人だったからCDも納得して聞けるが、STORYは、特にNEW STORYだけは聞けなくなった。四部作を完結させたのは3人のNEWSで、もう他の人が入る余地はもうなかった。あの物語を完結させた3人の中にだけ100%のNEWSの心があった。

NEW STORYを歌う「資格」と言ったら強い表現かもしれないが、その心があるのはあの場に立っていた3人だけだから、元音源は原曲であって原曲ではなくなった。

だから、やっと本当の音源が手に入ったNEWSの刻まれた物語としての本来の音源が手に入った。本当に嬉しかった。

ライブでは前述したクロスオーバーと併せ、まさにNEW STORY、新たな物語のための本当の完結をやっと迎えたような感覚があった。

セレクトしたのは増田貴久。

「言えないこと、言わないこと、胸にあるだろう」という歌詞が彼の心に強く残っていて、この考え方が好きだという増田貴久さん。

余談だが、偶然か運命か、発売を控えた新曲『ギフテッド』(東海テレビ35周年記念作品、東海テレビ&WOWOW共同制作ドラマ「ギフテッド」主題歌/主演・増田貴久) の歌詞のモチーフが三猿「見ざる聞かざる言わざる」がモチーフで
「言いたいけど言えなかったこと、言えなかったこと、言わないこと、聞きたいけど聞けないこと、聞きたくないのに聞いちゃったこと、見たくないけど見ちゃったもの、色々あるけど、あなたはそのままでギフトだよ」という意味が込められており、大好きな『NEW STORY』を思い出して素敵だなと思ったという話もしていた。この発売前の新曲もEXPOのセットリストに組み込まれ、発売されたシングル初回盤に、同曲の公演中のライブ映像が既に収録されているという、前代未聞の時系列も、新たな試みや意思が感じられて面白かった。

 

 

青いベンチ(増田貴久)

 

まさに20周年のここ逃したらできなかったであろうと思わざるを得ない。

コヤシゲは「チラリズム」を歌い、(オタ歴6年の私、まさか人生で、あの当時を再現したチラリズムが見られるとは思わず歓喜)、そして増田貴久は『青いベンチ』を歌った。

正直、私はNEWSが好きで、「テゴマス」というユニットの歴史を知らないので深いことは何も言えない。

だが、何も知らないなりに、あるひとつの終焉と始まりを見た感覚があった。

小山さんが、
“自分らがチラリズムをやってもいいか増田さんに相談したら、増田さんが「いいよ。俺は見たい。」と言ったからやることにした。そしてそれをやるなら、自分は増田さんにもテゴマスの曲を歌って欲しいと思った”
と言っていた。

加藤さんは 
“「もし、増田さんの希望があれば俺が一緒に歌う」と言った。「増田さんが、もともと2人で歌っていたものをひとりで歌うのは不安だと思っていて、増田さんが一緒に歌って欲しいと思う気持ちがあるなら、
その時は俺が一緒に歌うよ」
と言った”

増田さんはひとりで歌った。個人の印象としては、2人には背負わせたくないと思ったんじゃないかと思った。

その歴史を背負い、今ここで更新をかけられるのは1人。

そのくらい厳かで、ハピライのU R not aloneに近い印象だった。ひとつ今が進み、ひとつの過去がやっと完結したような感覚があった。

 

 

100年前から

 

「クローバー」「希望yell」で完結、「青いベンチ」でひとつの過去への決別、 「100年前から」で、生きにくい世界で最初から運命だった仲間を見つける。そういうストーリーを感じていた。

あらゆる可能性の中で繋がった運命。 We are NEWS─今までの超えたNEWSの日々がある。

彼らはずっとNEWSだ。
仲間と出逢って  旅を続けてく、
この物語の主人公である。

要所要所が、そういうセットリストだったと思う。

 

 

今夜が最後のお話

と加藤さんが歌い出す、今際の歌。

100年前から君と結んだ
約束を果たして
何度負けて失っても
別に構わない それだけ

100年前から君と
果たすべく始めたこの人生
さぁ、迎えにいくよ
「遅くなったね」
「会いたかったよ」
「ごめんね」
辿り着くのはいつだって
紛れもなく、君の隣だ。

 

(NEWS/100年前から 作詞・作曲:eill 編曲:Taku Takahashi(m-flo, block.fm)、Mitsunori Ikeda(Tachytelic Inc.)、中西亮輔

 

 なかなか素敵なアルバム曲。普通に聞けば「100年前から」は恋愛曲だ。しかし、アルバムの順に Different Lives とInterludeを経て聞く「 100年前から 」はどうにもNEWSのことに思えてならない。この並びによって壮大な想像が始まる。

 

「Different Lives」「100年前から」この2曲に通ずる鍵は「約束」だと感じている。

undertakeは「特定のことをすると約束する、 困難なこと・時間がかかることをする」という意味があり、

“あらゆる可能性があった。だけど僕らはこの運命を選んだ”

というのは意思決定でありながらそれ自体が実は100年前に約束されていたのではないか。Different Livesのショートムービーは、別の人生の彼らが「存在しなかった」というところが最後に強調されている気がしている。彼らが出会わない世界線には彼らがいない。並行宇宙である。(「時間的閉曲線の円の動きに注目し」云々の話に繋がってくる。)

 

と、そう思えるのはやはりこれに続く「100年前から」という歌の存在が大きい。

「100年前から君と結んだ約束を果たして」

「100年前から君と果たすべく始めたこの人生」

歌詞のとおり「この人生」は100年前に結んだ約束のために始まったものだとしたら、と考える。そして決め手が「辿り着くのはいつだって、紛れもなく、君の隣だ」という詞である。

 

「いつだって」

 

100年後に生まれ変わって、また目の前に何度あらゆる可能性が現れても、何度やっても辿り着くのは同じ場所、君の隣だ、としたら。

唯一の可能な時間線は完全に首尾一貫している、いわば「この人生」だけである(Different Livesの否定)とするノヴィコフの首尾一貫の原則のように、

過去に戻ることができたとして、何かを変えたとしても、3人が出逢うという結果はある「約束」によって運命(さだめ)られているとしたら……あるいは今の3人の誓いが100年後に「約束」として力を及ぼすとしたら。

 

 

 

出逢わずに別の人生を歩んでいても、きっと幸せだった。

『それでも気づくんです。今までの決断があったからこそ、今もこうやって、あなたと一緒にこの時をすごしていることを』(Interlude)

同時に、思うのかもしれない。何度やっても

“辿り着くのはいつだって 紛れもなく、君の隣だ。”

 

 あらゆる可能性があった。彼らはこの運命を選んだ。

 そして、100年後にきっとまた逢おうと約束をする。

    100年後に生まれ変わって、また目の前に何度あらゆる可能性が現れても、きっと彼らは同じ選択をする。

辿り着くのはいつだって、その仲間の隣りだ。

 

ここまで、ライブ前に考えていた。そして同時に、さすがに拡大解釈か?とも思っていた。だからこれはライブの演出で決まると思って当日臨んだ。

初日は、「君の隣だ」で増田さんが加藤さんの肩に手を置いて首を傾けた。

銀河の中に3人だけがいるような演出も相まって、初日から「隣りだ」で隣の加藤さんの肩に手を置いたとあればもう確定。そしてなんと、宮城2日目に入ったフォロワから、全く同じ解釈のDMが送られてくる。「2日目は増田さんが頭を加藤さんの肩に乗せそうなくらい傾けて『君の隣だ』を歌っていました。増田さんが辿り着くのはいつだって加藤さんの隣だそうです。初日はどうでしたか?」と………

確信である。(ꉂ🤣‪‪‬‪𐤔)

 

 だって、生まれ変わったら何になりたい?と聞かれた増田貴久は言った。

自分に生まれ変わってNEWSになって、また同じファンの人たちと出会って、また同じ質問をされたとき「前世でも聞かれましたよ」って言う。

(小山・加藤:そうしよう)

(2021テレビガイド お正月特大号)

 

小山慶一郎加藤シゲアキの隣で、そう高らかに答えて見せたのだ。

 

Different Lives

 

コンサートはいつも、単純に楽しい、すごい、格好いい、驚いた、感動した、いい歌だった、あの歌聞けてよかったとか。いろんな感情が放出されるエンターテインメントの場になったらいいなと思いながら作ってきました。その上でNEWS20周年の今年、どんなことをベース、芯にして、コンサートを作っていったらいいんだろと考えたとき、それが僕の中で今一番思いが強いことだったんですよね。もちろん感謝している人たちは数えきれないくらいたくさんいて。いくら感謝してもしきれないぐらいのたくさんの感謝があるけど、

そもそも、あの日、俺たち3人が出会っていなかったら?

(TVガイドAlpha Vo.72 増田貴久)

 

不存在を考えることによって存在を示す、この考え方、この思いをプロデューサーに話し、加藤シゲアキが脚本とタイトルをつけ、実現したのが「Different Lives」だった。

 

 

youtu.be

(加藤さん、「another life : (二つあったら)もう一つの人生」ではなく、「different lives: あらゆる違う選択肢」というタイトル、見事にこれをくみ取っている...)

 

別の人生を描いて、選んだ人生の証を立てる。出会い共に生きてきた人生を刻む。音楽アルバムに物語を描くことに無類の強さを持つグループが、メンバーに作家を擁する強みを持つグループが、やはり今回も魅せてくれた。

 

 3人で迎えていたはずの20周年は、別の世界線では別の場所で別の20周年を迎えている。

ラーメン店創業20周年、ブランド立ち上げから20周年、カメラマン20周年。

20周年というキーワードが一瞬だけすれ違っていても、彼らはお互いを知らない。それでも、彼らにはきっと充実した人生がある。

 

けれど、そこにNEWSはない。

 

3人は永遠に出逢わない。

 

 

シゲと小山とずっと一緒に歌っていたい

こんなメンバーとね、…僕はずっと一緒にやっていきたいんですよ!えへへへwww

(NEWS LIVE TOUR2020 STORY)

 

そんなふうに、「シゲとこやま」と嬉しそうに笑う増田貴久はいない。

 

いつだって人は夢を見てきた

この運命(さだめ)も誰かの夢の中

苦しまず楽な道を選んでいてもきっと幸せだった

傷跡は数え切れないほど If I…

 

(NEWS/Different Lives 作詞:篠原とまと 作曲・編曲:伊藤賢、辻村有記 コーラスアレンジメント:佐々木久美)

 

「苦しまず楽な道を選んでいてもきっと幸せだった」

 

 映像と共にこの歌詞が胸に刺さる。そう、お互いを知らず、永遠に出会わず、別の人と別の場所で生きていても彼らはどこかできっと幸せだった。

 それでも彼らは、この人生を選んだ。

 

「この人生だから、3人会えたんじゃない?」

(週刊TVガイド関東版 2023年8月18日号 増田貴久)

 

ショートムービーの「終了のシーン」が物語る。この「if」は選ばれなかった。

20年前から彼らは、共にNEWSというこの物語の主人公であった。

 どこかの選択や出会いが少し違っただけでまるで変わってしまう人生というものの壮大さと尊さに圧倒され、畏怖のような震えが込み上げてくる。

他所での不在は、そこにあることの証明。NEWSではなかった人生を描くことでNEWSの存在証明とする。

 

きっと僕らは undertaker

Don't you even know?

信じられない失敗と嫉妬するような奇跡が right now

描いたシナリオ

動き出せ主人公

突き刺せ この世界に生きている証

なりふり構わない survive

この祈り 届きますように

 

(NEWS/Different Lives 作詞:篠原とまと 作曲・編曲:伊藤賢、辻村有記 コーラスアレンジメント:佐々木久美)

 

サビのundertaker、動詞の意味を調べると、

undertake:責任を持ってやり始める

       特定のことをすると約束する

       困難なこと・時間がかかることをする・始める

といった意味が出てくる。あぁ、なるほど。すごい。

これはずっと前からあった約束だ。とても時間のかかる壮大な約束。またこの人生を選びたいと思うくらい、幸せに生きるという約束。もしかしたら最初からこの人生に結ばれていた約束。

 

 

 

 

NEWSのコンサートを見てくれる人たちに対して、この3人が違う人生を選ばずに、今ここにいて良かったと。そういう思いが伝えられたらと思って。

(TVガイドAlpha Vo.72 増田貴久)

 

 

youtu.be

 

「20周年迎えて何がすごいって、この3人が出会えたことだと思うんですよ」(NEWS大集会2023)

「この人生だから3人会えたんじゃない?」(週間TVガイド関東版 2023.8.18号)

「僕たち3人はデビューした時からずっと一緒にいて、何も変わっていないから」(EXPOパンフ)

 

20周年でこれだと辿り着いた答えなのだろう。増田貴久さんが何度もそれを繰り返すようになった。そして

“死ぬまでやる”と繰り返すようになった。

 

2020~2021年の増田さんはこう言っていた。

もう解散の選択肢はありませんでした。
ひとりでもやるって先に言ってました。もちろんふたりと一緒にやるのは前提で、“俺ひとりでもNEWSやるわ”って。

“NEWSというものを残す。ふざけんな”って

(2021 おかべろ)

 

見ていれば明らかなことだが、あれからの3年、大変だっただろうけど、身も心も充実した日々を過ごしたのだろうと思う。”今が楽しい、ずっとこれが続けばいい” 増田さんは確実な宝物を手に入れた。このTVガイドAlphaで「Treasureー宝物ー」を聞かれた増田さんは『仕事』と応える。

 

この仕事に出会ったから今の僕があるし、仕事を通じて出会った人もモノも、もう全部が宝物だから。
もしも僕が今とは違う仕事を選択していたら、そっちの世界で宝物がいっぱいできていたかもしれないけど。僕はこの仕事に出会った。それが全てだなって

(TVガイドAlpha 72)

 

「この仕事に出会ったから今の僕がある」もっと突き詰めて言えば「出会い」である。巡り合わせ、縁、、、同誌の加藤シゲアキさんの言葉を借りればまさに「奇跡の連なり」とも言えよう。そして今辿り着いた答えを形に昇華したのが「Different Lives」である。

 

 

 

We are Team NEWS

 

小山:We are Team NEWS!

加藤:Foreverーーー!!

 

増田:ありがとう、たとえば傍にいてくれたこと。何度傷ついても立ち上がれたのは

小山加藤:You are Team NEWS  思えば遠くに来たもんだね

 

(作詞:綾小路翔氣志團) 作曲:星野英彦(BUCK-TICK))

 

 


加藤さんが伸びやかに永遠を叫ぶこと。そして3人がお互いに大きく笑い合いながら感謝とか、やってきてよかったねと語らいあってるイメージで泣けてくる。どちらも本人が言いそうな(または言った)台詞の割りあてがよい。

こんな歌詞を明るく歌うNEWSに、本当に良かったねと思う。いい未来が待ってた。

「Different Lives」と後述の「劇伴」とともにドリームフェスティバルのセットリストにも入っていて、彼らの「今」と「未来」への自信と喜びを感じられる曲。ドリフェスでは間奏で、「20年やってたら、チームができたよ」と言っていてそこでも泣いた。

 

 

U R not alone

 

ベスト盤に再録。ファン投票1位。再録の夢がこんなに早く叶った。

 

この曲は全てを背負える宿命的な強さを持っている。

 

しかしやっぱりあのエコパのU R not aloneは、3人のあの曲の記憶のひとつにすごく複雑なものが残ってしまったなという思いはあった。(コロナで迎えられなかった初日、それ以上に完成してリハまでやったところで脱退宣言とは。) 

それでも3人はきちんと最後までNEWSの「あり方」を貫いて、ケジメをつけてくれたと思えて少し救われたのがハピライだった。全てを乗り越え、払拭するのがこの曲かもしれない。

「どんな思いでU R not aloneをやったか(笑)」と振り返った小山さん。ああ、やっぱり強い。状況変化にも負けず、この曲の強さを自分のものとしてしっかり立って歌ってきたんだなぁ。本当に強い。

それにしてもこの曲はズバ抜けている。初めて聞いた時から、これはNEWSというこのすごいグループの真髄であると直感したし、これはきっと最初で最後のことだろうと思った。

"今までの超えた日々が 僕らにはあるじゃないか”

過去の成功体験が時空を超えて力となる、 その経験が必ず方法を見つけ出す。 


「死ぬまでNEWSやっていきます」 と、 清々しいほど迷いなく、残りの人生もNEWSにかけていくのだと誓えてしまう。そういう人生を体現した。 この場所は絶対に、 他の誰によっても奪われてはいけない。 失われたら二度と戻らない。 3人の人間が20年をかけて生きる覚悟をかけて証明してきた聖域だ。そう思う。

そして何度聴いてもいつも思う。

何を置いても聴いて欲しい。 彼らの気概を見てほしい。
まずは聴け、 NEWSは歌だ。

 

今回も聞けてよかった。

 

 

 

メトロックフェス

 

Amazon.co.jp: NEWS EXPO (初回生産限定盤A) (CD+Blu-ray): ミュージック

 

 2023年5月21日、野外ロックフェスティバル「METROCK2023 TOKYO」の舞台に立った増田貴久はそう言った。このステージは、その実力を遺憾なく発揮し尽くした、想定しうる『成功』の全てを凌駕して尚あまりあるほどの大成功と言うほかないであろう。

 

 堂々と言い放って見せたNEWSというその肩書きは、彼らにとってきっと誇りの肩書きであり、生き方であり、居場所であり、自信である。ここにいるからだからできたこと、成し遂げてきたこと、実現出来る景色への誇り。屈辱と逆境の度に価値を問い、かけがえのない可能性を信じ続けてこられた人たちは確信の堅さが違う。ゆえに不動の矜持がある。

 NEWSの歌唱の決定的に凄いと思うところは、音楽に命が吹き込まれるのが分かるくらいの「気」の込め方である。痛みを知り、優しく寄り添い、大きく場を引き込み共に前に進もうとするように溢れる熱情の波が見える。生きている。この歌唱の姿勢がNEWSという生き方なのだなと思う。特に20周年を迎えた3人のNEWSは、物語の中でも歌唱の中でも以前以上に「生きる」を色濃くしていると強く感じている。

  そしてNEWSには明らかに、NEWSで歌っている時にだけ起こる、別格の凄まじい熱情があると強く感じる。増田さんはとても歌がうまくて、音楽番組でソロカバーをすることも増えてきたけれど、それとは違う。NEWSの曲をNEWSで歌うときにしかない、限界突破の感覚。「この3人は間違いなく20年間頑張ってきた」事実があるから、隣にいる支え合ってきた仲間は「初めから同じ方向を向いていた」と確信したから、そういう人生の仲間がいるから、

遺憾無く叫べる、魂でぶつかっていける。

一瞬も迷わず、全てを懸けていける。

NEWSで歌う時だけ、ある一定のラインを突破できる、そういう凄みを感じる。

これは生きる姿だ、と思う。

 

正直、わたしはNEWSを知った時からある種のもどかしさ、怒りをもとにしてきた部分がある。

明らかに、明らかに評価されるべきものが評価されていない。人生を振り絞り、全身全霊をかけたその「音楽」は限界を突破して事件を起こしている。アーティストのあり方としてトップだと思っている。販促が下手ゆえに、世間様のイメージゆえにこれが内々で終わるのか?矮小化され、たかがジャニーズと何も見ていない人間の「評価」(甚だ疑問)で矮小化されて終わるのか。

メトロックはもっと広く見せたほうがいい。「生きろ」と「U R not alone」を。アルバムなら「劇伴」を配信して欲しい。何が起きたかを、彼らが何をしているかを、少しでも正確に多くの人に、時代に、残して欲しい。

耐えてもがいて、絞り出して、あるいは溢れるものが抑えられなくて、そうやって歌う。そうやって生きる。頑張っているからすごいのではない、彼らが問うてきた覚悟、矜恃がいまどれほど洗練され、人に熱を伝えるために歌うということについてどれほど実行できるほどの実力を備えているか。歌い出した瞬間に畏怖を感じるまでに、本気(ガチ)で人生をかけているのだと感じる音楽力の高さ、申し訳ないがそれなりのアーティストを余裕で超えている。

Youtubeなりなんなり、気軽に見せられる場所で見せたほうがいい。何十倍も評価されるべきものなのに、これだけのことをしていても知られない、それは枷である。

 

だがそれも、もういい。と思ってしまうほどの圧倒的な力がこのメトロックにはある。どんな理不尽も、「だからなんだ」の一言で終わらせる圧倒があった。(それにしたってレーベルはもう少し考えた方がいいけれども)

 

 今日(こんにち)、この状況に至ろうと当然に臆せず「ジャニーズからNEWS来ました!」と叫ぶ増田貴久さんの声とそのステージが全てなのだ。ここまでやってきた日々に間違いなく答えがある。もはやこの五体がどうなろうとこの瞬間に全てを懸けよう、NEWSという場所を最高に楽しんで生きて見せようというような気概が感じられる。NEWSという人生を謳歌し、その人生に没頭している印象がある。

 アイドルはショーとその生き様の物語で魅せる存在である、と思ってきたし、今もそう思っている。特にNEWSは状況としてそういう運命にあったと言わざるを得ないのかもしれない。ゆえにむしろそれ(エンタメに想像の余地を残すこと、物語を生きる姿を見せること)が上手いアイドルだと思う。以前ラジオで加藤シゲアキさんがアイドルという立場について「人生をどれだけエモくしていけるか」と言ったことがあった。すごいと思った。その俯瞰的な理解とそれを生きる熱情の両立はすごい。魅力的な人生を歩まなければならない宿命であるとはなから覚悟しておられる。「自身の現在地を自らが確認し、この人生を生きる覚悟を胸に刻むための営み」というのは加藤シゲアキさんの著書『オルタネート』文庫の解説において、作家として異例の多さのインタビューを受けている加藤さんについての、重松清さんによる説明を一部引用したものであるが、特にNEWSというグループはこの営みを強烈な出来事とともに幾度も繰り返してきたグループであろう。その度に常に熱情と価値と愛をその場所に何度も問い、矜恃を離さぬと奮闘したはずだ。

だからライブで毎回、死ぬのか、これが最後なのかと思わせるほど、振り絞るように涙を流して歌っているのだろう。傷を背負ってもまた立ち上がれるような生きる気迫が、その歌に宿っている。この場所を選択し続けた彼らが物語の主人公にきまっている。

 そしてここ数年になって、その“宿命”を謳歌してやろうというような煌めきが強く伺えるようになった。私の中でその感覚を「やめた人たちがちゃんと脇役になった瞬間」と表現しているのだが、それこそ20周年という振り返るタイミングで、今までの超えた日々が、間違いなくここで生きたいと踏ん張り続けてきたのは自分たちであると共通認識として納得し、ここで歌っているのが1番幸せだ、ここが居場所だと確信したのではないか。その姿を美しいと思ってくれる人がたくさんいると思ったのではないか。「美しい希望を叫ぶ」とはそういうことではないか

 

 

劇伴

 

「この物語の主人公に告ぐ」

 

こんなことがあるだろうか、と思った。GReeeeNという天才が、また天才の腕を見せつけてきたのか!?これ程に共鳴することがあるだろうか。

 

“予定を合わせてこんなにたくさんの人が集まってくれて…ファンの皆さんやスタッフさんのおかげで… ” 増田さんは締めの言葉に一貫してそう言っている。しかし2021年あたりからここにきて、「この3人が出会えたこと」「シゲと小山と一緒にいること」への視点が大きく加わった。

3人は最初から頑張っている。その視点を聞いた時、増田さんはこれまでの全ての活動を経て、それを振り返って確信したのだと思った。

「デビューした時から『自分がいるからNEWSなんだ』と思ってきた」増田さん。「適当にやるくらいなら、やらない選択をしたい。それくらい懸けてNEWSと、NEWSの歌を大切にして」きて、だから最後に1人抜けた時も、絶対に残す、ふざけんなという気持ちを言葉にするほどで、ゆえに、今振り返ってみた時に今もなお隣に立つ「シゲとこやま」とのかけがえのない繋がりを実感したのかもしれない。

そして、この3人が最初から『主人公』だったんだと、それに気づいて…というよりそれを認められるようになって、彼らの中で彼らだけが初めからのNEWSの主人公になったのだと思う。

「僕らは最初からいる」

考えれば当たり前のことなのにハッとした。

辞めていった人達が“ちゃんと脇役”になった瞬間を見た気がしたのだ。

 

「動き出せ主人公」「この物語の主人公に告ぐ 」

Different Livesのラスサビの単語と、アルバム最終曲『劇伴』のキーフレーズの単語が同じであるのはもはや偶然ではないとさえ思う。3人はいよいよ、自然にその言葉を導ける境地に来た。

彼らだけが最初から今もこの物語の主人公である。

 

この物語の主人公に告ぐ

歩みを止めず 前へと進みながら

仲間と出逢って 旅を続けてく

そんな時ふと隣で奏でる唄

この物語の主人公に告ぐ

悲しみ不安激動も愛も全て包み込むように

今日も歌うから

まだ見ぬページの先にある笑顔に会いに行こう

どんな名シーンが君を待つだろう

 

NEWS/劇伴 作詞・作曲:GReeeeN 編曲:高慶”CO-K”卓史)

 

(新曲を)聴きながら
この2人でよかったなぁって思った

2人がどう思ってるかわからないけど一緒にNEWSの歌を守って来れてよかったわ

2人がどう思ってるか知らないけど
ずーっと続くといいな

( 増田貴久の○○ 2023.7.17)

 

20年間、好きな人の前で好きなことをしてきました。

30年、40年、50年、60年、70年…

死ぬまでNEWSやっていきますんで!

(NEWS20th Anniversary LIVE TOUR2023 NEWS EXPO 増田貴久)

 

 

 

それぞれの違う存在が集まる運命?俺たちがNEWSになった運命、NEWSを知っちゃった運命、NEWSを好きになっちゃった運命、それってすごいじゃん?奇跡じゃない?そんな思いが込められたらなと思うし、毎公演思うけどみんなの表情が素敵で、会いたくて来てくれるのが本当に嬉しい。みんなを幸せにするためにここに立ち続けたいなと思った。

しかしそれ以上に僕は幸せになりたい。僕は自分の幸せを大切にしたい。メンバーもそうかもしれない。自分が幸せになる場所がみんなの幸せになる場所と同じだとしたらどれだけ尊いことかということを実感した。みんなも自分の幸せを自分で守って、そのために一生懸命生きて欲しい

(NEWS20th Anniversary LIVE TOUR2023 NEWS EXPO 加藤シゲアキ

 

 

 あまりに鮮やかに、清々しいほど迷いなく、自分たちが幸せであること、自分が幸せになること、残りの人生もすべてNEWSにかけていくことを語る。そういう人生を体現した。3人は初めから同じ方向を向いていたと確信している。

 だから、NEWSの主人公は最初から3人だった。脇役が少し多かったようだけれど、気づけばずーっと一貫して同じ方向を向いてきた3人のために、3人のためにあってほしいこの物語は続いていく。

すごくないだろうか。耐え、もがき、それをも全部飲み込んで歌うこと(生きること)を信じ、今も枷を抱えていても辿り着いた場所がここである。

 

  だから、これからもこうして生きるのだと。

 

 

この物語の主人公に告ぐ

悲しみ不安激動も愛も全て包み込むように

今日も歌うから

まだ見ぬページの先にある笑顔に会いに行こう

どんな名シーンが君を待つだろう

 

NEWS/劇伴 作詞・作曲:GReeeeN 編曲:高慶”CO-K”卓史)

 

 

 

そういう運命を選んでくれて、見せてくれて本当によかった、本当にそう思う。

NEWS EXPOは単なる音楽作品とは一線を画す、そういう「出来事の記録」である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※引用部意外はすべて個人の見解です。