あきない世傳 金と銀 5話惣次の感想 ~凪いだ海の如く静かに溢れる情熱を映して~

やばい!!!!第5話見てゼッタイ!!!!嘘だろ!!むり!!おめでとう私!!てか加藤シゲアキさんの目の芝居が抜群に良い!!!!!

(支離滅裂)

 

阿呆の兄の理不尽のために、常にキレ散らかしてる秀才社畜次男だと思っていた人が、優秀で情熱的で一途な王子様だったなんて、いったい誰が予想出来たというのだろう!!!!(←原作未読)

 

以前、「目で語れる役者」と 加藤シゲアキ さんを評価したツイートを目にしたことがある。その通り、目の表情による情報量が言葉を超える時がある。目が語る。
特に慈悲や切なさ、哀愁を帯びた時は凄まじい。
今回は、幸を連れ出す時の目がとりわけ見ものだった。心中が全部表せてた。

 

(今回は原作読まずにドラマを最後まで見ようと思う。本はその後にしようと思います。加藤シゲアキさんが演じる惣次だけの話をします。<(_ _)>)

 

www.nhk.jp

 

 

四代目徳兵衛の後添となったことで、商売を学ぶ機会が得られたことはよかったけれど、夫婦として理解し合うことはできなかった。商いをやること、人生を笑って戦うことがモチベーションの幸。全然家に居ない夫より、店主に替わって中枢で商才を振るう義弟とのほうが関係性が深まるだろうよね·······

 

と思っていたところに4話。それまで自他へ厳しく、期待の働きをしない奉公人にキレ散らかしていた惣次。

ここから大きく変化があるわけですが、何より演者(加藤さん)の目が素晴らしいのでご注目ください!!!!(誰)

 

やらかした兄のリカバリーのために奇策を立て、幸を使うことにした惣次は、小物の取り合わせに至るまで全て惣次監修のもと、幸をべっぴんさんに仕上げる。反物の営業のため、女遊びをしないのに女を引き立てる着物をよく知っていて、センス抜群らしい。

 ずるいって!!!!!

幸を上から下まで見回し、満足気に笑顔を見せる。ただこれはまだ、上手くコーディネートできたことに対する笑顔だ。それでも幸を無視せず、最高級品の着物を「どうや?」と聞いてくれるんですね!!!!🤦‍♀️滲み出てるよ人柄が

 

そのまま町へ連れ出し、店先現金売りをする店から「明石ちぢみ」を買ってこいと幸の度胸試しをする。そして見事成功した幸は、売り方の仕組みに興味を持ち色々質問してくるわけだけど、ここで「女が知ることじゃない」なんてことは言わず、理屈から丁寧に説明してくれる惣次。ここで惣次が目線を対等にした、というのが目の表情から伝わってくる!“明石ちぢみ”を見ていた前のシーンから変わり、「幸」を見るようになったのが目だけで分かるのです!!!

ここから惣次の心の向きが変わってくる。番頭さんと一緒に自主勉強をする幸を見ても咎めなくなった惣次。ここの目も、誰にも向けたことのない深い色をしていて見事だった。後の展開(5話)を知ってから振り返ると、ここで最初に芽生えてたんじゃないかと思う。

「家で笑った顔を見たことがない」と言われた鉄壁の男が、幸の前では穏やかに笑うようになった。。すき()  幸を「あの女」としか見れないお杉を「やかましい」と一蹴した惣次のシーンも刺さりました………🤦‍♀️

 

そして迎えた第5話。ここに傑作が生まれた──。(騒ぎ散らかして体力の限界を迎えた視聴者)

 

伏見屋への婿入り(実質的なヘッドハンティング)の話が舞い込んでくる。もちろん政治が絡んでるのを速攻で見抜く当事者の惣次、ちゃんと優秀で好き🤦‍♀️

惣次は、らしくもなく、はぐらかし続ける──。いや、そういうことよな……。

「なんで俺には女中上がりの女押し付けられて、惣次には伏見屋からヘッドハンティングの話が来るんだ」と納得しない長男。逆になんでお前にいい話が来ると思った?って感じなんだけど、徳兵衛と惣次の、幸の捉え方のコントラストが素晴らしい。「そろそろ情でもかけてやるか」と襲おうとした徳兵衛(悪寒がした。素晴らしい。)を「このろくでなし!」と突き飛ばして逃げてきた幸。足を洗いながら「嫌や……」と呟く彼女に、黙ってハンカチを差し出し、そして「四代目の目は節穴やな」と独り言ちる次男(BGMなし。素晴らしい。)。

加藤さんの目の芝居が光る。幸の生足を見て揺れた心。ここの目が最高にうまい。足に目(心)を奪われないように、いや、奪われそうになっている自分がいるけれど、全くそうではないかのように振る舞う目。気づきそうになった心に素知らぬ振りをし、自らの心をも欺かんとする心。欺こうと意識した時点で気づいているというのに。「あえて目の光を引っ込ませてる」というのが明確に伝わる色をしている……!さすが目で語る加藤シゲアキ

幸と目が合わないように“焦点”を逸らす。不器用に、一途に、湖面に波紋を広げるように静かに、いや本当はもっと熱く、惚れている。

どう考えても、幸に釣り合う男は徳兵衛より惣次だし、惣次ほどの男が惚れる女は幸しかいない。

なんという少女漫画展開www 夢?夢なのかな?むり。ろくでなしから逃げてきて弱ってるところに、彼女の真価が見えている(惚れてる)王子様登場。シチュエーションは月夜の下。顔が加藤シゲアキ。むり🤦‍♀️制作の上の方にシゲ担いるね??🤦‍♀️

 

そして、惣次が伏見屋に行くと決められないというのが、風呂シーンの、壁を隔てたお杉との会話で明らかになるというのも絶妙な演出だったな。惣次は自分にとって救いだから、生涯かけてどこまでも奉公させてほしいと熱弁したお杉だけど、その惣次の心はいつものように損得勘定で動けなくなるほど、それでは割り切れない要素が彼の中で既に大きくなってしまった。(構図つら)

 

そんな折、突如四代目が怪しすぎる死を遂げる。なんというか、大きな声では言えないけど、けして悪い流れと思えないのがなんとも(苦) そのあと怒涛の好展開すぎてあなたの怪奇な死に言及できなくてごめん兄

 

生存配偶者となった幸を自分の妻に迎えることを絶対条件に(←)五代目を襲名する、と富久に切り出す惣次。「なにも、幸を」と言う富久に「幸やとあかんのですか」と切り返す。そうです。惣次には、幸やないとあかんのです。(誰)  

 

そして、おそらく命令することもできるけれど、「妻にしてやる」ではなくて「どうか私の妻になって欲しい」姿勢で幸に許しを求めたのが素晴らしかった。

ここまでで思うのは、加藤シゲアキさんがキャスティングされたのは、彼から出る実直さ、誠実さ、そしてこのドラマの趣旨を鑑みても何より「女性に対してもフラットな視点」が起用理由ではないかということだ。

 

ちゃんと、プロポーズすると決めた惣次。「そこまで付き合うてくれへんか?」と天満宮に誘った時の目がすごい。録画で言うと33分51秒17くらいのところです()。4話の度胸試しの時に向けたのと全く違う。

彼女に向ける眼差しが凪の如く静かで、でも熱くて、それを伝える覚悟が決まったのだと、彼女に決めたのだというのが伝わってくる。

 

┌───────

 

「はよ、ええとこのいとさん御寮さんに迎えて、お家さんを安心させておくれやす。」

「ええとこの娘など要らん。」

「…え?」

「あんたや。幸やないとあかんのや。
商いでは誰にも負けとうない。五鈴屋を大阪一、いや、日本一の呉服商に育てるつもりだす。それには、あんさんの力がいる。」

「できることはさせていただきます。せやさかい、奉公人として置いて欲しいて、お家さんにお願いしたんだす。」

「せやない。

あんさんが嫁になってくれたら、わてはもっともっと強うなれるのや。

婿になんぞならんかて、伏見屋に負けん大きな商いしてみせる。

幸。わての…、5代目徳兵衛の女房になってくれ。」

「惣ぼんさん…」

「商いのことしか知らん男や。女子(おなご)として幸せにしてやることは出来へんかもしれん。そやけど、正真正銘の御寮さんとして、商の知恵 絞れるようにはしてやれる。

それだけは、天神さんに誓うて、約束する。」

 

└───────

 

(思わず大文字で文字起こししてしまった)

 

そう、幸じゃないといけない。彼女の能力に限った話では無い。一緒にいるのが幸ならば、惣次が百人力になれる。

営業のプロとして世間体というのも熟知してる。相手は女中上がり、元は兄の妻。それでも、なんと言われようと惣次には彼女でなければならない。

あなたがいればどんな事でもやり遂げられるからと。商売しか知らない男だけど、幸せにしてやれないかもしれないけど、それでも好きなことはやらせてあげられるように約束するからと。

 

あの惣次が言ったのよ!!!!!

(この展開、聞いてないよ!!!!むり!!!!)

 

算盤で戦をする男が、初めて心の話をした。この時代の婚姻は現代より家や進退に関わる重いものだから、純愛を遂げることの感動はひとしおである。想いを捧げたい人に捧げ遂げ、持てる力で幸せにするからと誓いを述べる場面があれば、現代ドラマと違う、痛いほどの美しさがある。

さらに、この時代に幸を1人の人間として尊重し、なるべく羽ばたかせてあげられるようにしたい、という姿勢が好印象だった。色恋には不器用だけど一途に、自分の力ができる限り幸せにしたいと神の前で誓いを立てた男(顔が加藤シゲアキ)の情熱の滾りに感動せざるを得ない。NHKエンタープライズの時代劇なので、軽いラノベみたいなキラキララブコメではなく、丁寧に育まれた生涯レベルでの愛の重さがちゃんとあったのが良かった。

振り返れば、あの風呂シーンの時点で幸は兄の妻。惣次は、叶わぬ想いを密かに寄せていたわけで、こうならなかったとしてもきっと惣次は、生涯の最初で最後に芽生えた愛には静かに蓋をして、彼女の幸せを願いながらその想いは墓まで持っていたのだろう。なんということだろうか。つら。(全部想像ですけど)

 

いやぁ……“惣次のほうが”惚れた、というのが良かった。

ここでも目の芝居が完璧でした。セリフ以上に目が、溢れ出す情熱の高まりをよく写していたとも思える。この目は、「追い掛けがいのある人でいられるよう走っていくから」等々の、
あの真っ直ぐで情熱的で美しい加藤シゲアキさんの構文から感じる人格が、シームレスにそこにある感覚がした。クールにものを見定めながら情熱的な宣誓が滾る感じが、役とシーンの盛り上がりに合っていた。(スタオベ)

 

天神様の前で手を合わせて答えを待つ、という清さよ。幸が近づいてきた気配に目を静かに開け、前を見据えたまま静かに「女房になってくれるんか」と発する惣次。(ここも目がポイント)

天神様の前で並んで手を合わせて契を交わす姿、あまりに夫婦すぎる。凪いだ海のように美しい。(加藤シゲアキ小芝風花の体格差好きすぎる。)

ここの流れ、BGMもひときわ素晴らしくてサントラ買いました。

 

recochoku.jp

 

(その後、やはり組合の人から不満が出たらしいけど、「幸じゃないとダメだ」と惣次がひとりで説き伏せたそうです。当然のように本気出したらしい笑。)

 

五代目お披露目シーンが美しすぎた。画面が左右とも顔がいい。体格差。「似合の夫婦やで~」という町の声に「いいね👍」を連打したい。ビジュ的にも能力的にもこの店無双しますね。

町の人に営業スマイルで挨拶し、幸のほう向いた時だけはプラベスマイルなのも悶える。「妻の顔」を維持してる幸との対比が2人の心の矢印の太さの比になってて素晴らしい描写👏

 

幸の表情が変わったことに気づく惣次、その目線の先にいた智蔵。いやぁ辛いね。王道かもしれないけど画角や構図が完璧だったNHK

いつか幸を伴侶にして、お互い好きなことやって…って目標ができて、資金作りを始めたばかりの智ぼん。でももうその隣には兄がいた。しかも次男ながら店の柱として大手にまで名が轟くほど誰もが認める商才、性格も良く、顔が加藤シゲアキの、完全に優秀な兄。力の差が歴然としすぎている。どう考えても、幸の能力を最も理解し、幸の力を発揮させてやれるのは惣次。ともに生きる術も思考もあるのは惣次。明確にそれが分かる~。(智蔵も大概なのよ。長男死んで幸が生存配偶者になったから、幸が商売して自分は好きな事すればいいんじゃね?って。責任の軽率さが見えてしまう。兄の死を踏み台にしていると思ってしまう。人情本大義に出てったくらいなのに、今回のことであっさり好色本に手を出したところも冷める。幸の心意気も知らず、自分本位でしかない。彼女の才能を心底理解し、具体的に必要とし、手を取り合って店を大きくしていきたいと考える惣次が「責任」を分かってる。)

私は惣次応援し隊なので気持ちはハッピーエンドです😭次回予告も惣次が生き生きしてて楽しみすぎる。兄ごめん、絶対不審な死だったけど何となくスルーした(思うところあったんだろうとは思う)🙇‍♀️

でもこの夫婦好きすぎるからできれば一生添い遂げて欲しいとおもってる!!加藤シゲアキさんの恋愛ドラマって、そんなガッツリしたのは最近なかったから、時代劇としてもしっかりした脚本の中で、これだけガッツリやりきるのを見れて感無量。2024年イチのドラマがもう見れた。

 

まって!次回放送の前に、第170回直木三十五賞の発表があるではないか………!そう、惣次を演じるこの人は現在、今年の直木三十五賞候補でもある。5話と6話の間に直木賞挟むの!!!タイミングが!!!情緒が!!!!!