小説現代2023年10月号 加藤シゲアキインタビューを読んで

 

小説現代 インタビューを読んで、

もはや色眼鏡云々以上に、
悪意を持った読解力のない人が、
ここで扱った悲しみの歴史と、本作が伝えようとしている重要な視点を不誠実に捉えないでほしいという思いなのではと私は感じました。

 

もし歪められてしまったら、作家という在り方の責任に覚悟をして書いたエンターテインメントの「記録」が意味をなさなくなる。この作品の意味が無くなってしまう。

 

インタビューでは着想までの流れが語られていますが、加藤さんの幼少期からのエピソードがすごい数出てきます。すごい作品です。加藤シゲアキさんを構成する運命、経歴、経験、縁、興味、時期が全て、見事に全て集結して繋がり、そして途端に動き出した。まさになにかに突き動かされたような状況が語られていて高揚してきます。勢いよく、ドキュメンタリーではないエンターテインメントとして意図が成立する構造までが結論づいたところで、その悩みに直面するのは必須だったかもしれません。⁡

史実に架空の人物を投げ込み、進行形でフィクションに仕上げるということをしようとしている。
多くの人が抱えた悲しみの歴史をそのように扱うことがどこまで許されるか。
その理由が『小説は自由だから』では甘い。小説現代で語られている、加藤さんが今現在導いた暫定的な理由は、表現者の存在理由としておそらく間違ってないでしょう。

それでも、何度も何度も問い直したと思います。このインタビューを読むだけでも伝わってきます。
やらないとしたら、それは小説家の意義から逃れたことになる。やるなら相応の境地の心構え、誠実さが必要になる。配慮や中途半端なことは不誠実になるから。
きっとそういうことかなと思います。本当に大変だったと思います。
加藤さんはもうそれだけの腕があって、既にそういう境地に挑む作家になっていて、いよいよ新章を迎えたという感じがします。表現者として生きる「責任」がある人物なのだと思います。

 

ぜひ多くの人に読んで欲しいです。

 

 

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小説現代10月号

narenohate.kodansha.co.jp

 


追記:インタビュアーが石戸諭さんでよかったです。