―― ウジェーヌ・ドラクロワ作『民衆を導く自由の女神』が明確なビジョンとして立つ「あやめ」。屈強で慈悲深く限りない愛情、そして決意の曲。求めゆくは差別のない自由の地。彼はツアータイトルNEVERLANDを、"理想郷"と訳した。
これが、わたしが「あやめ」を”傑作”と称する所以です。――
要は、大好きな『あやめ』についてどうしてもメモっときたくていざ書いたらTwitterなんかじゃ収まりきらなくなったからブログにするね!!!
ってことです(ざっくり)(基本Twitterのひと)。
素晴らしすぎてTwitter文字数多過ぎちゃうので、自分なりにまとめてみました。
※当然、自説ですので諸説ありきです。
ではいきますよ
考察
あやめ
作詞・作曲 / 総合演出 加藤シゲアキ
※歌詞を紫で表記。
※ウジェーヌ・ドラクロワ『民衆を導く自由の女神』がモチーフ(本人談)
※キーワードは「理想郷」「平和」「愛」「多様性」「植物」(本人談)
※冒頭、雨の演出
※加藤さんは種子の発芽を表現。この種子は、曲中にも出る、釈迦の救いの手「蜘蛛の糸」を掴もうとして掴めなくて倒れ込むという流れから種になった(本人談)
決して空想 夢想の彼方
︎︎︎・理想郷を思い描いている
※決して:“かならず、きっと”の意
︎︎︎︎︎︎※空想:自ら思い描く
︎︎︎︎︎︎※夢想:①夢のようにあてもなく浮かぶ、将来の夢や希望を描く②夢の中に神仏の至現のあること
今だけはそばにいて
・僕と君が、空想の理想郷にいる
離さないで
・“僕の手を握っていて”“僕のことを想っていて”
(無音が1小節半)
街揺れる灯り 時のまにまに
︎︎︎︎︎︎※まにまに:①成り行きに任せて動くさま②ある事柄がほかの事柄に併せて進行する
加藤さんは時計の表現をします。
(あまりに美しくてスクショした)
サウンドが「雨」を感じます。
目覚めの鐘の音を
※①時刻を知らせる音
※②瞑想から現実世界に戻る時の合図
※③ノートルダムの鐘→「ノートルダム大聖堂」フランス革命以降、自由思想を信奉し宗教を批判する市民により、理性の神殿とされた聖堂?
まだ誰も知らない
・主観の世界には僕と君しかいない
※目覚めてないので夜明け前
※植物が発芽してる演出
あぁあなたの歌声を
雨が流してしまっても
・あなたの思いが現実世界?(雨)にかき消されてゆく
幼気に 巡りゆく
やわらかな目をして
︎︎︎︎︎※幼気:①痛々しく、いじらしいさま②幼くかわいらしいさま
・幼い頃の思い出(=理想郷、平和)を何度も回顧する
(一瞬無音)
決して空想 夢想の彼方
※照明が「夜明け」になる。
(照明技術が素晴らしい。)
今だけは キスしてよ
・その瞬間にかける思い
(光の方向が綿密に計算されている)
世界は 光の地図を求める
・理想郷を求める
※光の地図はNEVERLANDの象徴
だから僕は生きていく
※決意
※この辺レ・ミゼラブルっぽい(急に雑w)
※舞台上はコンテンポラリーダンス。自由を求めてもがく民衆?
※照明が暗め。そのときの心情を天気で表す小説的技巧を感じる
(一瞬無音)
紙で切れた指先のように
伝わらない痛みを忘れないように
・見えないほどの些細な痛みに気づけるようにありたい
※この加減が真骨頂。作家の比喩表現に脱帽。
青と藍と紫のボーダーライン
見極めるなんてできないんだ
・LGBTQなどの目に見える具体的個別的なことではなく(本人談)、コンプレックスなど些細なレベルのこと。尚、対象を「生きとし生けるもの」全てとしており、全ての命に分類がないと解釈する。
いずれあやめかかきつばた
※太平記が出典のことわざ。どちらも優れていて優劣をつけることが出来ないさま。
いずれもあやめず青空
・双方「殺め」ないように競わずに尊重していこう。
※「菖蒲(あやめ)」との同音意義
ここは乾いたただ荒野
それでも前向いて歩こうや
・荒野は雨さえ降らない。命がない。
※ジュニアの皆さんが顔に布を被ったのは、生命の気配を消した?
※「こうや」の韻
ゴッホも描けないほどの
愛の美しさを
※ゴッホが日本の浮世絵に憧れて描いた絵画が「アイリス」=あやめ
※ゴッホは絵筆を握る理由を、「星を描くことで希望を、輝く夕陽を描くことでひたむきな魂を表現したい」「私は絵の中で、音楽のように何か心慰めるものを生み出したい」「私は絵画を通じて、人々を救い、救われたかった」と語っていた。絵は彼にとって「愛を訴える方法」であった。
※しかしゴッホの人生は孤独だった。ゆえに魂レベルでの触れ合い、究極の愛を求めた。
※最期の2ヶ月、ずっとゴッホを支え続けていた弟テオの息子が原因不明の病気にかかり、ゴッホの援助が難しい状況になった。些細なことでテオ夫婦と口論になったゴッホは絶望し3週間後に自分の腹部を拳銃で撃ち自殺したというのが通説。諸説はあるものの、この時のゴッホは死を「救い」と思っていたと考えても不思議はない。
※彼の死後、作品は評価される。皮肉なことに、人々はゴッホの絵に自分の中の消化しきれず渦巻く苦しみを投影させて感動する。
→つまり彼は愛を描き、人々を救いたかった(理想郷を求めた)が、それは叶わなかった。
あなたと手をつなぎ
重ね重ね塗り描いてこう
※・・・ゴッホの作風が厚塗りだったから?えーもぅちょっと素敵な考察がいいよね・・・( )
空から落ちる蜘蛛の糸
※釈迦の救いの手
※芥川龍之介「蜘蛛の糸」仏の慈悲心とエゴイズムをわかりやすく伝えていることで有名
んなもんいらねぇ飛んでやらぁ
・自らの手で掴むのだ。
※冒頭の記述のとおり、救いの糸を掴もうとして掴めなかったことがある。
雨の弓を渡れ超えろ抱きしめろ
※「雨の弓」=虹。雨(rain)+弓(bow)=虹(rainbow)天才だこれ
※虹:①多様性、自由のシンボル。②キリスト教では、神との契約、約束の徴
※ギリシャ神話の虹の女神"イーリス"→聖花"アイリス"→あやめ(このつながりやばくない?←)
※虹の橋を渡る=理想郷へ
※切羽詰まっている感じの表情、この後の表情の変化へ繋がる。この曲、舞台のようなものなので役者の表情も重要な要素
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※エンジェルナンバー「4」=導きと安らぎを求めよ(?)
(一瞬無音)
※なにかに目覚めたように、自身を鼓舞するように虹(クレーン)を駆け上がる
決して空想 夢想の彼方
※決して:“かならず、きっと”の意
︎︎︎︎︎︎※空想:自ら思い描く
︎︎︎︎︎︎※夢想:①夢のようにあてもなく浮かぶ、将来の夢や希望を描く②夢の中に神仏の至現のあること
今だけは キスしてよ
・その瞬間にかける思い
世界は 光の地図を求める
・理想郷を求める
※光の地図はNEVERLANDの象徴
そして僕は生きていく
※決意
※前半と似てるが「だから」から「そして」になっている。必然性が高まったのか?
cause i need u cause i love u
knock knock open the door
never give up, beautiful world
makin' a good thing better
・ドアを開け、自由と美しい世界のために闘おう
※左から差し込んでくるライト、希望の光か
消して嘘 感傷よ放て
どこまでも
・美しい世界を諦めない強さがあるからこそ、理想郷は生まれる。嘘や感傷は吐き出してもよい。
※「決して」と「消して」の同音意義
(一瞬無音)
※「雨」のサウンドがなくなる。
決して空想 夢想のあなた
今だけはキスしてよ
※初めて「彼方」から「あなた」へ
※理想郷のために闘うと言ったので、別れのキスともとれるか?
※ここで虹のフラッグを担ぎ、クレーンで表現した虹を渡る演出。
※この会場だからできる、クレーンを重ねて虹をつくり実際に渡るという演出。発想に脱帽。
世界は 心の奥底にある
だから僕は生きていく
※「今だけは」という一時の表現と強い決意の表現との対比。もうそばに居てとは言わない。僕はそうするけど、あなたもそうしなさいと強要はしない。
虹を歩いてく
・多様性を受け入れる世界で僕は生きる。
※虹のフラッグと周りのジュニアと相まって、ウジェーヌ・ドラクロワ『民衆を導く自由の女神』のシーンを表現
~ここはNEVERLAND(ツアータイトル)~
まとめ
求める理想郷は、多様性を受け入れる美しい世界である。人類はどうして差別をしがちだが、LGBTQや人種といった目に見えることだけではなく、コンプレックスなど些細なレベルからボーダーラインなど無い。そして「生きとし生けるもの」全てが「多様」である。しかし、誰かが定義したボーダーラインによって、生きているだけで他人には伝わらない痛みが生まれてしまった。僕はあなたのその痛みを感じられるようにありたい。あなたと描いた美しい理想郷を求めて、僕は闘う決意をした。自ら求め、諦めない強さがあってこそ理想郷にたどり着けるのだ。僕は多様性を認める世界で生きる。誰もが自分らしく生きることを尊重したい、そんな限りない愛と、闘う決意を謳った曲である。
・・・てかんじ?ボーダーラインは誰が引くのか、どうして誰かに引かれるのか、それが大きなテーマだと思う。以下の記事で加藤さんは、法学部の学びからまさにそんなことを考え始めた、「誕生するまでのどの段階で、人間としての権利が認められるか」という悩ましい問題にも、実は法的な定義があると知り、非常に合理的だと感じる一方、不条理な思いも抱き、さらに同時に自分はそこに物語性を見出したと仰っています。
あやめはまさにその象徴的な曲だと思います。(考察以上)
収録アルバムは「NEVERLAND」。しかし絶対に映像で見るべき。
CD
Discography(NEWS) | Johnny's net
Blu-ray/DVD
Discography(NEWS) | Johnny's net
ちなみにここからはNEWS四部作を知っているかた向けの話ですが、のちに
NEWSコンセプチュアルライブツアー四部作(NEVERLAND・EPCOTIA・WORLDISTA・STORY)での加藤シゲアキさんのソロ曲
あやめ・氷温・世界・Narrative
について、
加藤さんがラジオで「実はソロ曲は繋がってて、Narrativeもあやめに繋がってる(ニュアンス うろ覚え芸人)」とおっしゃってて、どうやらNarrativeの最後の演出があやめ冒頭につながるらしい。
で、オタク(私)は
裸足で旗を掲げた「あやめ」から
— あおりんご🍏U R not alone担 (@UR_not__alone) 2021年6月15日
裸足で登場して足を組んで座って終わる「氷温」から
足を組んで座ってギターで弾き“語る”「世界」から
「Narrative」で最後飛び降りた先が「あやめ」の冒頭倒れるシーンに全て繋がる四部作の加藤シゲアキってマジですか🤦♀️#加藤シゲアキ
というのを聞き、さらに同時期に公開された上述の記事を考え合わせると、環状を成す四作が描こうとしたのは
”「まだ世界はできあがっていない」という物語 ”
だと感じました。
くわしくはぜひこちらをご覧ください。
さて、もし私のブログで加藤シゲアキ氏やNEWSの紡ぎ出す作品に少しでも興味を持ってくださった方がいらっしゃれば光栄です。
考察楽しい!!!!!!!!
以上
参考